1月の店主は、軽妙な読書エッセー漫画でも知られる漫画家、吉野朔実さん。名作『恋愛的瞬間』をはじめ繊細な絵柄と鋭い心理描写で彩られた作品世界の源流には、どんな読書体験があるのでしょうか? 昨日と違う自分に 「空想書店」、素敵な発想だ。好きな作家や、好きな本ばかり並べた本屋を開くのはどんなに楽しいだろう。あれもこれもと考えてわくわくする。 が、もし自分が現実にやってみたらおそらく半年ももたないに違いない。いわゆるベストセラー本や流行に同調出来る体質ではないし、傾向もばらばら。料理本の隣に建築本が並んでいるし、オースターの隣に尾崎翠が身を寄せる。店主は足元に犬をはべらせて、幸せな気持ちで棚を眺めているけれど、客は混乱するだろう。「アイウエオ順に並べてくれ」「コレがあってアレが無いのはおかしい」「俺(おれ)の好きな作家も置け」と、怒って暴れ始めるかもしれない。 いやいや、せっかく開店したのだから気