年中げすいことばかり口にしています。棒をみれば陰茎に喩え、仲がよいふたりをみたら「あいつらいいセックスしてんなあ」と、呟く。わたしはこれを「山田風太郎メソッド」と名づけたい。たとえば敬愛する江戸川乱歩が若い頃、ひとぎらいだった理由を、山田風太郎はたんに若ハゲを気にしていたのではないかといいました。歴史的な英雄の動機を、山田風太郎はときにどうしようもない感情や性欲に求めた。だから「山田風太郎メソッド」というのは、なかなかのネーミングだと自分勝手に賞賛します。けれどひとつ、気をつけなければいけないことがある。それは、山田風太郎がけして品格を失わなかったことです。乱歩の若ハゲを指摘した山田風太郎は、生前に当人に、油断がならない男だといわれていた。なにを書くかわからないという意味で、です。けれど山田風太郎は、乱歩が暗に示したことについては書かなかった。若ハゲについては思いつきもしなかったほかの作家