いまさら言うまでもないことであるが、日本語の世界というのは、かなりデカいのである。日本語を母語とする話者の人口は1億2500万人であり、言語の中では世界第9位である。それなのに日本人の多くは実感として、日本語は世界のごく一部でしか通用しない特殊な言語であるかのように感じている。それは、英語やスペイン語の場合と異なって、日本語の母語話者が日本という特定国家の中に集中しているからである。 これだけの数の母語話者がいるということは、日本語で書いたものを読んでくれる十分な数の読者がおり、日本語だけを話す人にとっても、ちゃんとそれなりの仕事が供給されているということである。これが、日本人が英語を話さない最大の理由である。能力の問題でも、シャイネスのためでもない。話せないのではなく、話す必要がないのである。ほとんどの人にとって英語とは、話せればカッコいいが話せなくてもそれほど困らない、いわばアクセサリ