中国近現代史・日中関係史を専門とする大澤武司さんが、膨大な史料をもとに書き上げた『毛沢東の対日戦犯裁判』。そこからは、日本軍の犯罪行為を裁く側に回った毛沢東や周恩来の思想や戦略が反映されていました。この日中関係の知られざる一面を照らす本書の執筆理由などについて話をうかがった。 ――ご執筆の理由を教えてください。 大澤:対日戦犯裁判といえば、終戦直後、連合国がA級戦犯を裁いた東京裁判やBC級戦犯を裁いたアジア・太平洋各地で開かれたものがよく知られていますが、第二次大戦後に誕生した中華人民共和国が1950年代半ばに日本人戦犯を軍事法廷で裁いたことはほとんど知られていません。 そもそもなぜ中国に日本人戦犯がいたのか。彼らはどこから来たのか。「戦犯」管理所ではどのような待遇を受けたのか。裁判の準備はどのように進められたのか。誰が起訴されたのか。どのような罪で起訴されたのか。その後はどうなったのか。
![『毛沢東の対日戦犯裁判』/大澤武司インタビュー](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/af14534dcc480822d91f8d397d77071ada575b50/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.chuko.co.jp%2Fshinsho%2Fportal%2Fassets_c%2F2016%2F12%2Ffc08223ba96833e710605569ef93bcce4b52c4bb-thumb-1200xauto-2873.jpg)