全国のそば通をうならせてきた広島の「名人」が来春、のれんをおろす。山梨から来て13年。地元のそば栽培は定着し、後進も育った。「そば打ちは生涯続ける」。70歳になるのを機に今度は大分へ移り、各地で技を伝え続けるつもりだ。 広島県北広島町長笹(ながささ)。広島市内から車で1時間ほど走った山あいに、高橋邦弘さん(69)が営む「達磨(だるま) 雪花山房(せっかさんぼう)」がある。 高橋さんがのばすそばの生地の厚さは1・2ミリ。2008年の北海道洞爺湖サミットでは、ファーストレディーの夕食会で振る舞った。店の営業は原則として土日・祝日で、メニューも「もりそば」(1枚700円)だけだが、遠方の客が開店前から行列を作る。