東京郊外の丘陵地に団地が立ち並ぶ。東京都多摩市の「多摩ニュータウン」。最寄り駅から坂道や階段を上り15分ほど歩くと、永山3丁目地区に着く。何度も塗り直された公園のブランコ、原形をとどめていない朽ちたバスケットゴールが時代の移ろいを感じさせる。 「当初はきらびやかだったんだけど…」 家族3人で引っ越してきた吉川恵美子さん(65)は往時を思い出す。 入居時に1歳だった娘が不惑を過ぎ、吉川さん夫妻も、いつの間にか「高齢者」と呼ばれるようになった。 地方から若者を集め、膨張を続けてきた東京が急速に老い始めている。 ◆足りぬ入居施設 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010(平成22)年に267万9千人だった東京の65歳以上の人口は20年に324万1千人、40年には411万7千人と急増する。大阪、名古屋などの大都市を抱える府県にも共通する。 こうした大都市圏では、高齢者向け