S先生のギターレッスンは少々変わっている。今までギター教室で教わったことはないので他がどのようなものかわからないが、クラシックギターとフラメンコギターの両方を教えてもらえる、全国でも珍しい先生のようだ。だが、そんな先生だったからこそ生徒みんなに慕われ、そして自分も長く続けられたのかもしれない。 手書きの楽譜S先生は若い頃スペインにギター留学し、「現代クラシックギター奏法の父」といわれる、あのアンドレ・セゴビアのレッスンを受けたことが影響しているのか、楽器メーカー主催の音楽教室のメソッドなどは一切使わない。 また、そのメーカーの楽器を生徒さんに勧めることはなく、自分が信頼するギター専門店で購入することを勧め、音楽教室が認定するグレード試験も必要ないという。年に一度の発表会は音楽教室のホールを利用することなく、ご自身の自宅の、広いとは言えない部屋に30人ほども集まって行う。 楽譜もそうだ。音楽