生きながら埋葬される、あるいは臓器を摘出される、これはそうとうな恐怖だと思います。しかし、現実にはこんなことがけっこうあるのではないか? 今日は、「死んだ人が生き返ることがあると思うか」などと子供に聞く大人はアホではないか、ということについて考えます。 「甲虫(かぶとむし)がとうとう死んだの。それで、あの子今まで泣いて泣いて……」。 鳥や虫の小さい生命の消えるたびに、いつも事新しく悲しむ次女が哀れにもまた好ましかったので、そのとき私は、なんとなく微笑した。 明けての朝は二学期初めの登校日。曇り空だが雨はあがっていた。 「帰ってから花壇に埋めるから預かってネ」――次女はそう言い、ちり紙に包んだ甲虫を私の机に置いて登校した。 あとで紙包みを開いてみた。甲虫は生きていた。後足がかすかに動く。「まだ生きてるじゃないか!」――予期せぬ驚きが声になった。台所にいた妻が、信じられないという顔で甲虫を覗き