フレーバング王国 みなさま。お元気ですか? 昨年の10月から書き始めた異世界ファンタジー。カクヨムのコンテストで連載しておりましたが、やっと完結いたしました。 冒頭の2話は、短編仕様になっておりまして、今回書いた主人公サラの姉の物語です。 コロナで自宅にいらっしゃる方も多いと思います。 よろしければ、お読みくだされば、とても嬉しいです。 『ファム・ファタール–宿命の女–』 いけにえの儀式[前編] この世界は三つの大国と周辺の小国で成り立ち、それぞれは微妙な均衡きんこうのもとで成り立っていた。 ふたつの大国の間に位置するフレーヴァング王国は火山噴火の降灰に悩む乾いた土地だ。白い粉が舞う非情な地にあり、隣の大国のエゴに蹂躙じゅうりんされ、搾取さくしゅされる悲しい小国にすぎなかった。 いつからだろう、人びとがそんな状況に慣れてしまったのは―― 同じような造りの貧しい家に引きこもり、ただ過ぎていく