年表という画期的な図法を発明した科学者ジョゼフ・プリーストリーが、1769年に制作した『A New Chart of History』(歴史の新図表)。世界の主要な帝国の興亡を視覚的に整理するために制作された Public domain, via Wikimedia Commons 過去の出来事を1本の線上に整列させることで歴史を可視化する「年表」は、わたしたちにとってあまりに身近な図法ではあるものの、哲学史家のエミリー・トーマス氏によれば、時間をめぐる長い思索の歴史のなかにおいて、その手法は比較的新しく現れたものであるという。さらに彼女は、その背後にある「線形の時間」という発想そのものも、歴史を可視化するために構築された装置にすぎないと指摘する。 わたしたちは年表を、歴史を客観的に記述するツールだと捉えがちだが、そこには必ず作成者がクレジットされており、その人固有の価値観もまた自ずと織り

