ジョージ・オーウェルの小説「1984」では、人々の行動が政府によって監視される社会が描かれている。このためには大量の情報を収集・処理する必要があるので、小説が書かれた1948年当時の技術水準では全く非現実的だっただろう。しかし、情報通信技術の進歩で状況は一変した。現在、英国では数百万台もの防犯カメラが設置されていて、犯罪やテロ対策に利用されているという。日本でも、街中の防犯カメラの映像を調べることで犯罪者の特定につながったというニュースがしばしば報道されている。 キャッシュレス取引では、お金を使えば誰がどこで幾ら使ったのかという情報が資金決済をする組織に残るので、こうした情報を分析すれば、不正蓄財などの犯罪行為を把握することが可能になる。中国政府がキャッシュレス化を強力に推し進めている背景をこのように説明する記事も見られる。お金を使うことだけではなく、スマートフォンを持ち歩けば持ち主の詳細