私は文学部の中国思想文化学という研究室に所属して中国思想を教える立場になっていますが、何故こんなことになってしまったのかと原因を考えてみると、どうも高校生のはじめ頃の自分にたどり着くように思います。 私は高校生のある時期、夜になると街に出かけて一人でぶらぶらすることがよくありました。だいたい夕食(当時は家の事情で一人で食べることが多かったように思います)が済んだ7時過ぎ頃になると、おもむろに家を出て電車に乗り、青梅という駅で降りました。青梅は東京の西のはずれにある町で、山梨や秩父へと続く深い山地と東京へと広がる平野のちょうど境目に位置しています。私が生まれ育った家は、青梅駅から30分に一本しか走らない青梅線に乗ってさらに西へ数駅先の山の中にありました。そこから宵闇の中をのこのこと出てきて、青梅の駅前の街を徘徊するのが好きでした。30年も前の昔の田舎町でしたので、駅前の商店街も7時になるとほ