男性作家「妊娠・出産」の演劇を作る【下】 女性が男を、男性が女を演じて見えた世界 谷 賢一 劇作家・演出家・翻訳家 妊娠と出産をめぐる演劇『丘の上、ねむのき産婦人科』を作・演出した谷賢一さんの論考の後編です(前編はこちら)。今回は女性と男性が「役」を入れ替えて演じることを通じての「発見」を中心につづります。 カップルの「相手」を演じてみたら 台本を書く際にも現実の声に耳を傾け様々な視点に立つよう努力したつもりだが、さらに「異なる性/生を想像する」ため上演時には一つの趣向を凝らした。 「女性が女性・男性が男性を演じるAキャストバージョン」と「女性が男性・男性が女性を演じるBキャストバージョン」、2種類を作ることにした。両バージョンを交互に上演するのだ。 7組のカップルの話がメインになるので、男女入れ替えの際には自分の相手役を演じることにした。つまりある場面で妻役を演じていた女性の俳優が、男女