政治をめぐる世論調査の数字に表れた民意の受け止め方が難しくなっている。既成観念の移り行きの速さも重なり、真意の読み取りにくさが増していると言った方がいいだろう。 菅改造内閣発足を受けて共同通信社が実施した全国緊急電話世論調査が典型的だ。 内閣支持率は菅政権で過去最高の64.4%に上った。小沢一郎元幹事長の影響力を排除する「脱小沢路線」の継続が評価されたため、と解説された。 民意を映したデータには違いない。ただ、背景や要因を丹念に読み込まなければ真意に迫れない。消費税発言のぶれなどにより、菅直人首相が首相としての資質を問われ、民主党は参院選で大敗した。その後も政策的に特筆すべき実績を挙げるには至っていないからだ。 支持する理由は「ほかに適当な人がいない」。経済政策への期待感も乏しく、支持の弱さを示している。政治姿勢に対する信頼感や、短期間で首相を代えることへの抵抗感も支えになっていよ