先日、編集者であり人気ブロガーでもある仲俣暁生さんと「インターネット時代の『小さなメディア』の使い方」と題したトークセッションを行った。実は僕も仲俣さんも、たまたま同時期に「小さなメディア」という言葉を使った文章を書いていて、但しその言葉の定義の仕方が、両者の間で若干異なっていたもんで、その差異について話し合ってみようというような趣旨のものだった。 「小さな」という言葉を使うからには、当然その反対には「大きなメディア」が想定されているのだが、その想定の仕方が、仲俣さんと僕とでは少し異なっていた。仲俣さんがこの言葉を使うとき、基本的には津野海太郎の「小さなメディアの必要」から用いているという。津野は、フィリピンでの「マイクロ・メディア」運動について、次のように書いている。一九七六年、ミンダナオ・スル司祭協議会(MSPC)の提唱によって、ガリ版印刷、自分たちでつくる演劇、スライド製作などにかか