◆◇◆遠い触覚 第二回 「インランド・エンパイア」へ(1) 前半◆◇◆ 「真夜中」 No.1 2008 Early Autumn デイヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』のことを書きたい。『インランド・エンパイア』(以下、『インランド』と略す)は観るたびいろんなことを考えて、考えが次々出てきて止まらなくなる。私はそれを全然制御できないのでこれから何回かにわたって書く予定のことも全然まとまりがない。その最たるものが、ローラ・ダーンが顔に痣をつくって、眼鏡がやけに曲がっている男に向かって話をしている場面だ。彼女はかつて男にレイプだったかレイプまがいの乱暴だったか、そういうことをされた時の話をしていて、それを見ながら私は、 「どうして性器は排泄器官といっしょになってるんだろう。」と不思議になってしまったのだった。 性器が排泄器官といっしょになっていなくて、服や下着で隠すようなものでなけれ