最近、調査業界でもよく話題になる『エスノグラフィ』。弊社では調査プロジェクトのタイトルに用いることもあり、社内で軽く『エスノ』などと略しているが、本来は「人類学者が、人間の社会と文化を研究する上で用いる質的調査法のひとつの形態」(『質的調査法入門』S・Bメリアム著)と言われている。 人類学者と言われた時点でうかつに『エスノ』などと略してはいけない雰囲気にもなってくるのだが、人類学者において『エスノグラフィ』には2つの意味があり、ひとつは「データ収集の際に用いられる一連の方法」、もうひとつは「『エスノグラフィ』の技法を用いた調査の記述記録」と論じられている。単にこの技法を用いてデータ収集を行なった、ということだけでなく、そのデータを社会文化的に解釈し「研究対象となる集合体の社会文化的分析」を行なうことが、『エスノグラフィ』であり、帰結点は「他文化の理解」ということのようである。