構造データとその重要性 機械学習の伝統的な問題設定では、多数のベクトル集合が訓練データとして与えられ、それを元に、何らかの関数関係を学習(もしくはフィッティング)します。しかし2000年代になって、機械学習がさまざまな実データで試される中で、このような伝統的な問題設定には乗りにくいデータが、大量に存在していることが認識されるようになってきました。 その典型例は、訓練データが図1のようなグラフ集合として与えられる場合です。図において、丸が頂点、直線がつながった辺を表します。頂点につけられたアルファベットは、頂点につけられた何らかのラベルを表します。 図1 グラフの例 グラフ集合の実例としては、たとえば、化学構造式が大量に格納されたデータベースが挙げられます。あるいは、If-Thenルールの集まりを木として見た場合、ある種の知識ベースもまたグラフ(木)集合を保持しているとみなすこと