P126)ところで、知識とは何か? 社会理論から出発しても――近代社会を「知識社会」と銘打ってみたところで――役に立つ知識概念は見つからない。認知的/規範的の区別や、認知的/情緒的の区別は、十分でない。規範的なものの側にも情緒的なものの側にも、知識が含まれているからである。結局のところ、規範を〈知る〉こと、自分自身の感情を〈認識する〉ことも必要なのだ。従って、知識は、全く一般的に無知から区別するか(この区別はあまり役に立たない、人はほとんどすべてのことを知らないのだから)、より具体的な区別を試みるとしても、情報(無知から知識への突如の移行)から区別するしかない。/こうした(知識の定義の)不定性は、さまざまの機能システムがそれぞれ独自の知識概念を用いていることと関係するかもしれない。学術は、吟味された知識、虚偽ではないかとテストされた知識だけを、承認する。マスメディアは、もっぱら情報を理解す