社会の刷り込みが人のパフォーマンスに与える影響を、社会心理学者が解明した『ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか』。本書の発売に合わせ、身近なステレオタイプは日々の仕事や生活にいかに影響し、私たちは何ができるのかを考察する。初回は原著者と同じ社会心理学者の北村英哉教授による、日本語版序文を全文公開する。 女性は理数系に弱い。男性より女性のほうが、保育士や看護師に向いている。理系の人は空気が読めない。 誰しも一度は耳にしたことがある言説ではないだろうか。こうした人をある種のカテゴリーで見る固定観念、鋳型のことを「ステレオタイプ」という。 本書の中心的なテーゼは、このステレオタイプと人間のパフォーマンスの関係を紐解いた「ステレオタイプ脅威」というものだ。 周囲からステレオタイプに基づく目で見られることを恐れ、その恐れに気をとられるうちに、実際に