柴田聡子は〈不思議〉な人だ。その人となりがそうであるというより、〈不思議〉をキャッチする感度の高さがすさまじいという意味で、〈不思議〉だと思う。 アコースティックギターを携え、あらゆる場所で鮮烈な歌声と言葉を発射していた初期から彼女の才能におののいてきた私は、以後の音楽家としての急成熟ぶりにもずっと驚き続けてきた。メロディー、ハーモニー、歌声、言葉、その全部が類まれな才気の標となって、キラキラと光を放っている。彼女は、この世界に漂う驚きや不思議を巧みにすくい取りながらも、彼女自身もまた驚くべき存在として聴くものの生活に刺激を与えてきた。いや、刺激だけではなく、ときには(あえてこの使い古された言葉を持ち出させてもらうなら)〈癒やし〉をも運んでくれた。 2022年5月25日、前作『がんばれ!メロディー』(2019年)以来3年ぶりとなるアルバム『ぼちぼち銀河』を発表するにあたり、これまでの10年
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