アジャイル手法は「俊敏な業務システムを作る手法」なのだろうか。それとも「俊敏に業務システムを作る手法」なのだろうか。「データモデルなきアジャイルの危うさ」でも説明したように、的外れなDB構造の見直しを促す契機をもたらさないとすれば「俊敏な業務システムを作る手法」ではない。DB構造が硬直化した業務システムは、事業の変化・発展に俊敏に追随できないからだ。 いっぽう、アジャイル手法は「俊敏に業務システムを作る手法」でもなさそうで、その過程は期待に反して鈍重である。アジャイル手法の大きな特徴が、開発対象を小さく切り出して、それ毎に短期のイテレーションを繰り返す点だ。これだけ聞けばいかにも俊敏にコトは運びそうだが、それのどこが鈍重なのか。 説明しよう。アジャイル手法では「動くソフトウエア」が重要視され、仕様の確立はこれによって駆動されると考える。ところが多くの場合、「動くソフトウエア」は「持ち帰り」