坂本龍馬、源義経、近藤勇、新島八重、黒田官兵衛、平清盛、井伊直虎など、これまでに様々な歴史上の人物がヒーロー・ヒロインとして活躍する作品が作られてきた。今回の四三と田畑のように2人以上の人物が主人公の作品は過去にもあったが、『いだてん』はかなり独特なカラーを帯びた大河ドラマになったと言って良いだろう。いわば、“誰もが主人公になり得る物語”としての意義があるのではないか。 アスリートにはアスリートの葛藤や苦悩がある一方で、その舞台を作り上げるために関わる全ての人々にドラマがある。こればかりは作り手の宮藤官九郎に聞かないと分からないが、恐らく四三と田畑だけでなく“みんなが主人公”の大河ドラマなのではないか。もちろん、誰か1人のカリスマ的活躍を描いたドラマも非常に面白い。ただ、『いだてん』のように登場する全員――それこそ清さん(峯田和伸)も含めて。彼は架空の人物とはいえ、四三に東京の地形について