大人になってから「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の可能性に気づいても、専門の医療機関は非常に少なく、治療薬の使用にも制限がある。診療態勢の充実が求められる一方、特性を知って自ら対処しようという当事者グループの活動も増えている。 (竹上順子) 東京都内に住む女性(38)は六年前、ADHDの診断を受け、衝動性や不注意などを和らげる薬を処方された。集中力が増すなど症状は改善したが、翌年、この薬を使える疾病が厳しく制限され、ADHDの治療に使えなくなった。専門クリニックに通ってみたが、受診希望者が多くて待ち時間も長い。薬ももらえないため通院をやめた。 日本では現在、成人のADHD治療薬は承認されていない。十八歳未満の子ども向けには二種類の治療薬があり、十七歳までにADHDと診断され、薬を使っていれば十八歳以降も「継続使用」はできる。成人向け治療薬は現在、治験中だ。