欲しかったのは本当の言葉 「秋葉原事件」とは何か(1/2ページ)2011年4月5日15時54分 無差別殺傷事件が起きて騒然となる東京・秋葉原の交差点 大沢信亮さん 秋葉原無差別殺傷事件に判決が下された。死刑だ。犯行直後には「社会に対する若者のテロ」とも呼ばれたが、公判が進むにつれて、虐待に等しい母親の躾(しつけ)がクローズアップされていった。だが裁判所は最終的な犯行動機を「インターネットの掲示板上での嫌がらせをやめてほしいと訴えるため」と認定。世間を騒然とさせた劇場型犯罪は静かに忘れ去られつつある。 事件が起こった2008年は、若者の労働運動が近年になく盛り上がりを見せた年だった。私自身がその渦中にいた。「ロスジェネ」と「フリーターズフリー」という若年労働をテーマにした雑誌を刊行し、いくつものシンポジウムに出席した。その席では主に労働の視点からこの事件について言及した。だが、組合の意義や派