秋田県にある出羽鶴酒造では、優しくまろやかで女性的な印象の「出羽鶴」を醸しています。対して、刈穂酒造が醸すのはキリッと力強い男性的な「刈穂」。実はこのふたつの酒蔵、同じ会社が運営する"兄弟蔵"なんです。 一見まったく対照的なこの「出羽鶴」と「刈穂」はどう育まれたのか。その秘密を探るべく、蔵のある秋田へ向かいました。 「秋田清酒株式会社」ができるまでこのふたつの蔵の歴史は、慶応元(1865)年、出羽国南楢岡(みなみならおか)にて代々庄屋を営んでいた伊藤家12代目・伊藤重四郎氏が「ヤマト酒造店」を創業したことに始まります。大正2(1913)年、13代目・恭之助氏が「鶴のように優美な出羽国の酒になるように」という願いを込めて、銘柄を「出羽鶴」と命名。昭和30(1955)年には、社名も出羽鶴酒造株式会社へと変えました。 刈穂酒造の前身は、大正2(1913)年に伊藤家の親戚筋である共同出資酒蔵だそう