これはNextremer Advent Calendarの23日目の記事です。 現在、株式会社Nextremerでは早稲田大学の田中宗様と量子アニーリングに関する共同研究を行っております。 はじめに 量子アニーリングは組合せ最適化問題を解くための有効なアルゴリズムと言われています。 本記事では、量子モンテカルロ法による量子アニーリングを用いて、代表的な組合せ最適化問題であるTSP(巡回セールスマン問題)に対して解を求めたいと思います。 量子論の基礎 TSPの議論に入る前に、少しだけ量子論の基礎的なことに触れておきます。 物理量(エネルギーや運動量など)は、量子の世界では演算子というものに対応します。例えば、エネルギーという物理量に対応するものはハミルトニアン($\hat{H}$と表します)という演算子です。 このハミルトニアン $\hat{H}$ という演算子は、ある量子状態 $\psi$