妻は結婚当初より寝言が多かったが、年末からその内容が「ここには私の居場所がない」「壊れちゃう」というような不穏なものになり、かつ、泣きじゃくるときもあったり、言動の記憶がまったくないというので、以前不眠でかかった心療内科に僕ひとりで相談にいった。ムソルグスキーの「禿山の一夜」が流れる待合室で名前を呼ばれ、熊のダッフィーの大きな人形を抱えた青年と入れ替わりで診察室に入る。 今朝、義理の母に妻のことを電話で相談してみた。義母は僕の「実は寝言が…」の「寝」の字にかぶせるように「あの子の寝言のことでしょ」と言ってくる。千里眼か?千里眼ではなかった。訊いて驚いた。妻は子供の頃から寝言が多くまるで話すような寝言であったこと。泣くこともよくあったこと。不穏な内容の寝言(義母は「死んじゃえ」と言われたこともあるらしい)もあったこと。そのような言動の記憶は妻にはないこと。義母曰く「また坊主にしたの?何回目か