グーグルの親会社アルファベットは2023年5月10日、毎年恒例の開発者会議「Google I/O 2023」を開催した。同社の幹部たちにとってこの会議は、グーグルの人工知能(AI)プロジェクトに関する社会の論調をリセットする重要な機会だった。 Google I/Oに先立つ2月、同社のスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、マイクロソフトのBing/ChatGPT公開に先駆けて、グーグルの会話型AI「Bard」のデモを急がせた。しかし、それはうまくいかなかった。プレゼンテーションの動画再生は、エラーと不具合だらけだった。同社の株価は急落し「マイクロソフトのAIの方がリードしている」という雰囲気が生まれてしまった。 しかし、一般のイメージとは異なり、グーグルはAIの覇権争いでマイクロソフトに後れを取っていたわけではなかった。マイクロソフトは、ChatGPTを開発した新興企業OpenAI(