混合ダブルス準決勝で女子ダブルスパートナのスチアディと対戦。試合後に抱擁を交わす(写真:REX/アフロ) 「もしあの子が男の子だったら、きっと失格にはならなかっただろうね」——。 あの日、オフィスに呼ばれた加藤未唯は、スーパーバイザーとレフェリーの二人に、そう言われたという。 先の全仏オープン、女子ダブルス3回戦。ポイント間に相手コートに返した球が、ボールガールにノーバウンドで当たったため失格に処された、その5時間ほど後のことである。 「試合の後は2時間ほど、一人でロッカールームにこもっていた」と加藤は明かす。 ソーシャルメディアは見なかった。多くの友人やテニス関係者たちから「悪くないよ」「みんな支援している」というメッセージが届いても、「自分のせいで、パートナーまで失格になってしまった」という自責の念を払拭はできなかった。 報道陣からは加藤への会見要請があったが、「今日は会見をやらなくて