ゲンシリョクセンソウ タワラソウイチロウ 原子力戦争 田原総一郎 ドキュメンタリーノベルというだけあって、豊富な資料にもとづいた展開で、いろいろな箇所に田原氏の原発に対する考えがわかる。 関西電力美浜原発の燃料棒事故、東電福島原発の火災をメインテーマにすえて、官僚支配に対するテレビ局のディレクター大槻の戦いが描かれる。 文庫本は、1981年刊行だが、すでに現在よく原発の議論にでてくるキーフレイズ、たとえば、原発はトイレのないマンション、プルトニウム社会は超警察管理社会にならざるを得ない(ラルフネーダー)などが出てくる。また、原発の議論は、推進派、反対派ともに、諸外国でおこなわれてきたものの焼き直し、コピー、孫引きコピーであることもわかる。そのため、日本ではあまり白熱した展開にならず、ひたすら米国における展開待ちという指摘はもっともだ。 小説という形を借りているため、推進派の登場人物に