企業のシステム部は,現場部門から出されるシステム化要求の背景や業務の本質を十分に理解しなければならない。そうしないと,企業に変革をもたらす有効なツールとしてのIT(情報技術)が宝の持ち腐れになる。しかし往々にして,システム部は既存システムの手直しや機能追加,クレームなどの対応に追われ,現場が何を考えているのかに無関心になりがちだ。システム部を含めた企業の全員が情報システム化の狙いや目標を共有すべきである。 本記事は日経コンピュータの連載をほぼそのまま再掲したものです。初出から数年が経過しており現在とは状況が異なる部分もありますが,この記事で焦点を当てたITマネジメントの本質は今でも変わりません。 首都圏に3店舗を展開する都市型百貨店を営むA企業グループの年度計画検討会議での出来事だ。システム部のY部長が,役員・部長を前に来年度のシステム部の方針を説明した。 「当社は,情報通信技術の新しい潮