2009年9月18日のブックマーク (10件)

  • 濱口桂一郎『新しい労働社会』 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)

    「キャリアデザインマガジン」第88号に掲載した書評を転載します。著者から「辛口の批評を」とのリクエストをいただいておりましたので、辛口に心がけたつもりです。…が、著者にとってはメンバーシップ型の支持者からこの程度の論評がなされることは想定の範囲内だったかもしれません。 新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書) 作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/07/22メディア: 新書購入: 18人 クリック: 401回この商品を含むブログ (84件) を見る 労働問題が世間の耳目を大いに集めるようになったのは、安倍内閣が発足した2006年頃からだろうか。以来今日に至るまで「格差」や「ワーキングプア」などが確たる検証もなしに政治的に喧伝され、「日雇い派遣」や「年長フリーター」、「均等待遇」などをめぐって印象論や感情論がばかりが先走り、不安定な政情の中で政策も右往

    濱口桂一郎『新しい労働社会』 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)
  • みやきち日記

  • 押井守/スカイ・クロラ - このページを読む者に永遠の呪いあれ

    スカイ・クロラ [DVD] 出版社/メーカー: バップ発売日: 2009/02/25メディア: DVD購入: 12人 クリック: 97回この商品を含むブログ (243件) を見る遅まきながらですが、今更『スカイ・クロラ』について書きます。まず、言っておきたいのだけれど、この映画は押井守作品の中で今のところ最高傑作だと思う。 押井は今作で遂に当の意味での叙情の人になった。大島渚がそうであったように。 今作で押井は『イノセンス』で実践した常人には理解しがたかった「都市へのフェティシズム」への執着をやめ、キャラクターにスポットをあてた映画を撮ることに成功しています。いや、『イノセンス』にあったようなフェティッシュな表現はなくなったかと問われれば答えは否です。例えば空の描写、散香や空中戦の描写などにそれらを垣間見ることはできます。 しかし、それらは『イノセンス』の都市描写にあったような見るものを

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  • 男と女はどのように壊れるのか「軽蔑」

    オシドリ夫婦が壊れていく話。 「よくあることじゃん、現実にも」という方には、次の点を強調しておこう。この小説は、男性側から一方的に見た、「オシドリ夫婦が壊れていく話」なんだ。インテリであり作家である夫が告白する形式なのだが、その回想描写が正確であればあるほど、心理分析が的確であればあるほど、疑わしく思えてくる。なにが?なにもかもが。 わたしたちは愛し合っていた。この物語の主題は、わたしが依然としてを愛し、を無批判に受けいれていたときに、どのようにしてエミーリアがわたしの欠点を見出し、あるいは見出したと思いこみ、わたしを批判し、ついにはわたしを愛さなくなったかを語ることである。 愛さなくなっただけでなく、夫のことを軽蔑し、静かな怒りまで抱くようになったという。夫にしてみれば、身に覚えもなく、やましいことも一切していない(と思っている)。なので、最初は戸惑い、次に怒り、ついには泣きつく。

    男と女はどのように壊れるのか「軽蔑」
  • 論理パズルを攻略するテクニック - hiroyukikojima’s blog

    来週、いよいよ、ぼくの単行デビュー作『数学迷宮』の復刻版『無限を読みとく数学入門』角川ソフィア文庫が刊行される!これは待ちにまった瞬間だ。このは、ぼくにとって最も大事なだからだ。そして、いまだに乗り越えることができないぼくの最高傑作だからだ。実に感慨深い。 無限を読みとく数学入門 世界と「私」をつなぐ数の物語 (角川ソフィア文庫) 作者: 小島寛之出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 55人 クリック: 721回この商品を含むブログ (41件) を見るとは言っても、今回は、ものすごい改訂を行ったので、「復刻」というと語弊がある。原とはだいぶ異なっている。ある意味、「原型をとどめないほど」、と言ってもいいくらいだ。テレビでやってる「ビフォー・アフター」ぐらい「なんということでしょう」的リフォームになってしまった。どの辺がそうなのか、とい

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  • 読書眼たる武器を増やすということ - 平野啓一郎『小説の読み方』 - 魔王14歳の幸福な電波

    小説を読む際の着眼をどのように置くか。そのパターンを多く持っているほど、たくさんの「武器」に習熟した人だと言えるでしょう。 豊穣な解釈のポテンシャルを秘めた作品であっても、対応する「武器」の用意が読む側になければ、「つまらない」か「分からない」くらいの感想しか出てきません。ある種の作品に対して恐ろしく深遠な読みのできる人が、別種の作品に対しては驚くほど浅薄な紋切り型の解釈しかできない、という例が少なからず見受けられるのは、その人が操れる「武器」の種類に偏りがあるからだと思います。 「武器」の扱い方は自分で編み出すこともできるし、他人の話を聞いていくことで習得することもできます。自分の持てる「武器」をいくつも組み合わせ、状況に応じたふさわしい「読み」をひとつひとつの作品に対してカスタマイズできるようになること。理想的な「読者像」*1のひとつとして、そんな姿がイメージできます。 そういう「武器

  • マルディネ | 現象学 便所の落書き

    Henri Maldiney, Le vouloir dire de Francis Ponge マルディネのポンジュ論。 ポンジュは「もの」の即物的な描写がそのまま詩になってしまう不思議な詩人。 大学1年後期、小林康夫先生の必修フランス語で初めて生のテキストを読んだ。そのときの題材がポンジュが電力会社のパンフレットに書いた文章だった。小林先生、さすがに粋である。内容は忘れたが、何となく雰囲気だけは覚えている。 で、このマルディネ、とてもよい。「無言の世界へと言葉を与える」(p. 39)というのがテーマだろうか。 encre marine(海のインク)という出版社ので、インクがマリン・ブルーで美しい。ペーパーナイフで切る必要がある閉じた装幀というのもよい。 少し翻訳すればよいのだが、今度気が向いたら。 音楽の話題を最近書いていないが聴いていないわけではない。 昨日聴いたフリッチャイ、ベル

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  • 裸体とはじらいの文化史―文明化の過程の神話 - 情報考学 Passion For The Future

    ・裸体とはじらいの文化史―文明化の過程の神話 大変にユニークであり中身も濃く、面白い。5つ星の。 人類のはじらいの文化は、野蛮から文明化社会へ、不作法から洗練へ向かったという一般的な見方(ノルベルト・エリアスの文明論に代表される)を真っ向から否定する研究書。原始社会の人々は裸体や排泄する姿を人前に晒すことに恥を感じない野蛮な社会だったというのは根拠がないウソであるという。むしろ原始社会と言われる社会の方が恥の感性は発達しており、裸体の社会的管理も厳格だったりするのである。 全裸で暮らす≪未開の≫部族は、一見、裸に対して羞恥心を持たないかのように思えるが、実は彼らはお互いの裸体を見ないように暮らしているのだ。うっかり男性自身を硬直させないよう女性に近づかないように心掛ける。もし少女の陰部をみつめたりすればその親に報復されたり、村から追放される厳しいルールがある、などということが解説されてい

  • 『現代人はキリスト教を信じられるか―懐疑と信仰のはざまで』を読んでみたいと思った - 夏のひこうき雲(ブログ移行中)

    http://book.asahi.com/review/TKY200909010127.html asahi.comの書評ページでこののことを知った。原書の副題は「キリスト教の懐疑的な肯定」だそうだ。 現代人はキリスト教を信じられるか―懐疑と信仰のはざまでposted with amazlet at 09.09.05ピーター・L. バーガー 教文館 売り上げランキング: 53959 Amazon.co.jp で詳細を見る 今日どの宗派も自明のこととして受け取ることができなくなった。そのような状況では、宗教の伝統から取捨選択して一部を保持し、他を捨てる選択行為、すなわち異端は避けられない。 短い文章にする都合上はしょって書いてあるのだろうけど、ここは少し私とは考え方が違う。現代において避けられないのは「取捨選択」とは思わないし、異端と考える範囲が広すぎる。 だが、以下はまったくその通りだ

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  • 一人で読めて大抵のことは載っている教科書(追記あり) 読書猿Classic: between / beyond readers

    Author:くるぶし(読書猿) twitter:@kurubushi_rm カテゴリ別記事一覧 新しいが出ました。 読書猿『独学大全』ダイヤモンド社 2020/9/29書籍版刊行、電子書籍10/21配信。 ISBN-13 : 978-4478108536 2021/06/02 11刷決定 累計200,000部(紙+電子) 2022/10/26 14刷決定 累計260,000部(紙+電子) 紀伊國屋じんぶん大賞2021 第3位 アンダー29.5人文書大賞2021 新刊部門 第1位 第2の著作です。 2017/11/20刊行、4刷まで来ました。 読書猿 (著) 『問題解決大全』 ISBN:978-4894517806 2017/12/18 電書出ました。 Kindle版・楽天Kobo版・iBooks版 韓国語版 『문제해결 대전』、繁体字版『線性VS環狀思考』も出ています。 こちらは10刷

    一人で読めて大抵のことは載っている教科書(追記あり) 読書猿Classic: between / beyond readers