ブックマーク / lepantoh.hatenadiary.org (4)

  • グレッグ・イーガン『万物理論』 - 無言の日記−It’s Nothing, Don’t Mention That

    実はid:Atori:20041214:p1さんのレビューを読み、再読。 イーガンは短編の方が読みやすいと思う。しかし、イーガンがいつもここかしこで提訴する「アイデンティティ」「ジェンダー」の問題が興味深すぎて、長編もついつい読んでしまう。もっとも、長編のメインはイーガンのもう1つの持ち味「量子論」に攫われてしまうことが多く、「アイデンティティ」や「ジェンダー」の物語は惜しみなく投入される多くの枝葉・アイディア・ガジェット・世界観のどれか一つであることも珍しくないのだが…… 作で出てくる「ジェンダー」に関する議論は大まかに分けると2つ。 1つは性別について。強化男性、強化女性、微男性、微女性、転男性、転女性、汎性といった性別が出てくるが、とりわけ第3の性としてあつかわれるべき汎性は、中性風の外見を持ち、性器がどのようになっているのかは家族とパートナーくらいしか知る必要がないと考えるひとび

    グレッグ・イーガン『万物理論』 - 無言の日記−It’s Nothing, Don’t Mention That
  • 無言の日記−五月の庭 高橋源一郎×望月哲男『テクストと読者 ―〈読み〉の在り方を問い直す―』講演会レポート

    1月14日日曜日に開催された講演会に(珍しく)行って来ました。私にとって高橋さんは一連の日文士パロの人、望月さんは『ドストエフスキーの詩学』の訳者さんという認識で、こりゃあ行かない訳にはいかんだろう、ということでお邪魔しました。教室には80名ほどの聴衆。 ■高橋源一郎パート 「日の現代小説は世界一」 しょっぱなから、この講演が早稲田大学文学研究会の中でプレゼンを勝ち抜いて決定したということに「厳正なプレゼンでの審査というのは文学的ではないですね」とか、「僕は〈テクスト〉という言葉が嫌いなんです」とか飛ばしまくりの高橋源一郎さんの1時間程度の語りをまとめました。 ◆ さっそく『百年の孤独 ニッポンの小説』の話に。「文学界」で連載している18回分がまとまっているパート1は「ニッポン近代文学100年の孤独」がテーマということ。あと3年、パート3まである。 「小説について語る」ということの特殊

    無言の日記−五月の庭 高橋源一郎×望月哲男『テクストと読者 ―〈読み〉の在り方を問い直す―』講演会レポート
  • 無言の日記−五月の庭 - 買い与えてでも読んで欲しいと思う漫画ベスト10

    こんばんは、長らく更新していないのに見に来てくれてありがとう。 さて、去年もやったんですが、今年読んだ漫画ベスト10を発表したいと思います。ルールは以下のとおりです。 2006年に最新刊が発売されたもの、および連載されたもの。 指標として得点をつけてみますが、加点制です。100点の指標は、少年漫画では尾田栄一郎『ONE PIECE』44巻、青年漫画では若杉公徳『デトロイト・メタル・シティ』、少女漫画ではいくえみ綾『バイ アンド バイ』とします。これらの漫画は、可もなく不可もなく、値段以上の価値はあったという感じ。レディコミはあまり読みません。 基ロックなものが好きです。その上で評価基準はいつも常に3つです。ひとつ、評論的な文脈から誉められるか否か。ひとつ、好きか嫌いか。ひとつ、面白いか面白くないか。 ■と、その前に今年のワーストを。順位はつけません。 『デスノート』、『未来日記』がダメで

    無言の日記−五月の庭 - 買い与えてでも読んで欲しいと思う漫画ベスト10
  • 無言の日記-五月の庭 〈内面〉論のメチャクチャな発生にみる、大塚英志の論理的欠陥

    たまたま吉隆明『マス・イメージ論』が手元にあるので、大塚英志が割と近年の彼の総括である『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』や『教養としての〈まんが・アニメ〉 講談社現代新書』などで少女漫画の通史を作成する際に用いる〈内面〉モデルの成立について少し書いてみる。『マス・イメージ論』の最終章「語相論」が大塚の引用元にあたるのだが、実際に読んでみると、事実の羅列ばかりでそれに大きな意味づけがされていない文章であることがわかる。ただし、一読してはっきりと分かるのは、この場合、吉は大枠では画像と言語の関係について考えていて、その中で、〈画像と言語が平準〉であるつげ義春、大友克洋、岡田史子、そして〈言語が微分化されている〉山岸凉子、萩尾望都、そして高野文子というグループを作っている。大塚は、吉の権威と、この文章の着眼点と、そしてその主張の薄さをうまく利用して自分のオリジナルの論を組み立てている。

    無言の日記-五月の庭 〈内面〉論のメチャクチャな発生にみる、大塚英志の論理的欠陥
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