誰かを助ける力があなたにはあるの。あなたはきっと誰かを助けられる。そう言ってくれたのは高校卒業式の恩師。手を握って、目を見て、そう伝えてくれた。あの言葉を、当時の私は半信半疑で聞いていた。恩師のことは信じていたけど、私自身を信じきれなくて。あれから何年も経った。あの時の言葉を私は今も信じていいのか迷っている。けど、力があるかどうかはさておいて、この数年は誰かに手を貸すことで生きてきたな、ということは確か。いろんな人に手を貸してきた。本当に私でいいのかわからなかったけど、私を選んでくれた人たちがいた。選ばれないくらいなら背伸びをして無理してる方が幸せだった。だから、何か持ってるフリばかり上手くなってここまで来た。虚勢の張り方だけが上手くなった。みんなの求めるものには応えようとはしてきた。喜んでくれた人もいた。でももっとできるはずなのにと私自身では満足いかないものばかり。だから、選ばれなくなる