○ アリストテレス『詩学』 アリストテレスは、プラトンに対する最初の体系的批判者である。彼の『詩学』には、ソフォクレスと共に「悲劇」は終焉に達したと規定されている。しかし、プラトンが詩作にテクネーを認めなかったことには異議を申し立てている。 「政治の技術の正しさと詩作の技術の正しさは同一ではないし、また、他の技術の正しさと詩作の技術の正しさも同一ではない。……また、個々の技術に即した誤り、例えば医術とかその他の様々な諸技術に即しての誤りは、詩作の技術それ自体の誤りではない」アリストテレス『詩学』、p15 詩作にはそれ固有のテクネーが存在し、他分野のテクネーと単純比較することはできないとアリストテレスは強調する。弁論術も同じであり、それぞれ固有の卓越化した技能が存在するのである。 また、アリストテレスは個別具体的な出来事を、「規範」のレベルまで理想化することが芸術の使命であると規定する。歴史