中国で改正「反スパイ法」が施行されて、1日で1カ月が経過した。スパイ行為の定義が拡大され、恣意(しい)的運用による摘発の強化が懸念されている。日系企業などは社員の拘束におびえながら経済活動を続けているという。習近平国家主席率いる中国は軍事的覇権拡大を進める一方、国内監視を強固にして独裁強化を図っているようだ。日本人複数の長期拘束が続くなか、岸田文雄政権は現地邦人の生命と財産を守り切れるのか。 【グラフでみる】中国の若者失業率と不動産投資 「共産党の独裁体制死守は、習政権の一丁目一番地だ。外資系企業がいくら対策をしても、リスクから逃れることはできない」 M&Aのプロの立場から「中国事業のリスク」について警鐘を鳴らしている経済安全保障アナリストの平井宏治氏は、こう指摘した。 改正反スパイ法では、従来の「国家機密」に加え、「国家の安全や利益に関わる文献やデータ、資料、物品」の提供、窃取、買い集め