貨幣数量説はマネーストックが増えれば名目GDPが増加すると考えるが、この場合のマネーは企業や家計が借り入れで調達したものでも構わない。つまり、(2)の交換機能を重視しているということだ。 一方、MMTでは民間部門の内部でお金の貸し借りをして貨幣が増えても、資産と負債を差し引きすると民間部門全体としては純資産が増加していないので効果がないとして、民間部門の純資産(特に金融資産)を増やすために政府が負債を増やすべきだと考えている。MMTではお金の機能のうちで(1)の価値の保存機能を強調しているということになるだろう。 MMTの特徴は、毎年の経済活動と同時に起こる純資産残高の変化の整合性を強調している点だ。 MMTは部門別の純金融資産の動きに注目 経済学では毎年の生産額であるGDP(国内総支出)が注目されることが多く、それと同時に起こる資産残高の変化はあまり問題にされない。議論されるとしても生産