ラブホテルである。 目の前にあるのは希望の光、未来の礎、情熱の回帰、魂と魂のぶつかり合い、肉体と肉体の絡みあい、酒池肉林、狂乱の宴、見まごう事なきラブホテルである。 お およそラブホテルとは縁のない人生を送ってきた。さすがにあまりに縁がないとその存在は視界というか意識から完全に抜け落ちる。みんな、仏具屋の場所を覚 えているだろうか。覚えていないだろう。別に仏具屋が街中にないわけではない。そこに確かに仏具屋はあるのだ。ただ、必要でないから意識から抜け落ちてい るに過ぎない。 それと同じで、ラブホテルである。完全に意識から抜け落ちておった。人によってはラブホテルが主 戦場であったり、馴染みの深い場所であったりするだろう。そういった人々はいわゆる人生の勝ち組である。そんな人もいるというのに自分にとっては仏具屋と さして変わらない。絶望すら覚える。 さて、暖冬だと思っていたこの冬は、その偽りの姿を