定員78人の805号法廷の傍聴席はすべて埋まっている。弁護団席には植村さん側が25人、櫻井氏側は6人が着席した。6日前には植村氏敗訴の東京地裁判決があったばかり。法廷の緊密感は前回(4月25日)と変わらない。 正面中央の裁判長席には冨田一彦・部総括判事が着いた。冨田氏は5月13日付で着任し、本多知成裁判長と交代した(冨田氏の前任は神戸地裁部総括判事、本多氏は札幌地裁所長に就任)。裁判長交代による手続き(審理の引き継ぎを確認する「更新手続き」)と提出証拠の確認の後、植村さんが起立して意見陳述を行った。植村さんは、「裏付け取材なしに思い込みだけで『捏造』と断じた櫻井氏を許した判決はあまりにも公正さを欠く」と強い口調で述べ、冨田裁判長に向かって「証拠をきちんと検討し、公正な判決を出していただきたい」と訴えた。