これまで、地球温暖化問題をめぐって途上国が先進諸国に非常に強い不公平感を抱いてきたことは否定できません。というのも、途上国のなかには、地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの歴史的な排出量が少ないのに、温暖化の悪影響に対して脆弱な国が多いからです。世界の国のなかで147カ国以上が含まれる途上国グループと20数カ国の先進国グループを作り、温室効果ガスの歴史的累積排出量を比べると、1990年にはそれぞれ41%と39%であり、同じくらいでした(図参照)。つまり、一つの国あたりで見ると圧倒的に先進国の排出量が上回っていたのです。これは18世紀の産業革命以後、欧米先進諸国の急激な経済発展が膨大な化石燃料(石炭・石油など)の消費に支えられてきたことによるものです。 このため、途上国はこれまで、地球温暖化に対して先進国がより率先して責任を取り、温室効果ガス排出量の削減などを実行するよう強く求めてきまし