写真家 石川直樹 日本列島には、折口信夫がいうところの「まれびと」、すなわち異形の神を迎える儀礼が数多く残されています。列島の海沿い、なかでも島や半島といった場所に多く出現する、こうした〝異人〟を、ぼくは10年以上前から追いかけてきました。 今まで北極や南極、アジアやアフリカの農村など辺境の地へ目を向けてきたわたしですが、なぜ日本列島のまれびとを追うことになったのか。そのような問いを、あちこちで受けます。 日本列島には異形の神を迎える来訪神の儀礼がいくつも存在していますが、中でも北陸と東北、九州と沖縄の海側にある小さな村で多く受け継がれています。北陸、東北の中では、ナマハゲに代表されるように、秋田県が特に多いですね。 また、南に目を転じると、トカラ列島にある悪石島のボゼを筆頭に、下甑島のトシドン、硫黄島のメンドンなどが有名です。 悪石島のボゼは、鹿児島のトカラ列島、悪石島という不思議な名