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震災からしばらく経ったある日。ちょっとした雑談でケータイの話になった際に、自宅は丸ごと津波に流され、ご家族とご自身の命だけしか残らなかったという被災者の方から、ゆっくりと落ち着いた声で、そう指摘された。 ▼防潮堤が丸ごとなぎ倒され、集落はほぼ壊滅し、1ヶ月が経過しても手つかずの状態。(2011/04/20 岩手県釜石市郊外 クロサカタツヤ氏撮影) 東日本大震災の発生直後から、訳あって被災地に通うようになった。関わったことは多岐にわたるのだが、通信産業のお手伝いを生業とする人間としては、震災直後から今日に至るまで、通信やメディアがどのように役立ったのかを知りたいと思っていた。 その話を聞いた時、すでにケータイは概ね復旧していて、私が東京にいる時もケータイでやりとりをしていた。むしろ固定網の復旧が遅れており、固定電話はもちろんネットもろくに使えない状態で、ケータイは案外タフで役に立つ、という
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