翌朝、僕はもう童貞ではなくなっていた。 さらに十月十日後、保育園が産まれた。児童福祉法の要件をつつがなく満たした、天使のような認可保育園だった。 保育園はいつも僕のあとをついてまわり、「パパ、パパ」と抱きついて戯れた。 さらに十年十ヶ月後、保育園は十歳になっていた。 「パパのバカっ! もう知らないっ!」 保育園が最近僕を避け始めた。というか、露骨に嫌うようになった。 「あー! パパ、また一緒にしちゃって!」 保育園が両手にそれぞれ異なる下字をもって風呂場から飛び出してくる。 左手には『所』、右手には『園』。身体は「保育」の二文字状態。 「もー! パパ、また『所』を洗濯カゴのなかに入れてたでしょ!? 私は『保育園』だって何度言ったらわかるの!? 児童相談所と間違われたいの!? そうなったら困るのパパなんだからね!? パパなんだからね!?」 二度繰り返した。本気で怒っている。 僕は伏し目がちに