【午前10時40分】相懸かりの立ち上がりから一度は決戦状態になったものの、今は陣形整備の段階に戻っている。先手の森内名人が自陣のスキを消している間に、後手の羽生三冠は前線への銀の進出を図った。 控室では関西の新鋭、千田翔太四段が検討している。「先手は後手の2二の角を働かせないようにしながら、駒の連結を強める狙いがある。このまま進めば、先手の厚みが生きそうです。対する後手は指し手が難しい。森内名人は自信を持っているのではないでしょうか」と話した。 羽生三冠の方針に注目が集まっていた頃、△9三桂が指された。△8五桂の跳ね出しを狙った積極的な一手だ。森内名人が腰を落として考え始めた。(村瀬信也)■封じ手 【午前10時】撮影用にと、記者室に「封じ手用紙」が届いた。1日目の指了図が記され、森内名人が次の一手を封じていた書類で、厳重に管理されていた。森内名人は8六の金を丸で囲み、7六に向けた矢印を記し