祖父の葬式とか〇回忌とか墓参りの際にはいつも象徴的な虫が出現する。季節外れの虫とか、どこから出てきたのかわからないでっかいカマキリとか、「あの虫さ~」ってみんなが覚えてて話題する系の虫。 葬儀の時にずっとハエが飛んでて、祖母に「あのハエ邪魔だったねー」と話したら、お通夜の時からずっといたと。母やら叔母やらもハエのこと認識してて、「もしかしたらおじいちゃんがハエになって遊びにきたのかもね~」って話してた。で、母がはっと気づいて、そういえばおじいちゃんの口癖「うるさい!」だったって思い出して、ハエって漢字で書くと…。 そんな話をしていて、何回忌かでまた親戚が集まって、その時もなんか虫が出て、「おじいちゃん来てるねー」って話してたんですけど、祖母がそれ見てやだ気持ち悪いって踏みつぶしちゃって、一同えーーーーーーーーーー!!!!いやあの話…おじいちゃ…! 祖母は祖父が脳梗塞でぶっ倒れてから10年近
彼がそう言ったのはちょうど今日みたいな蒸し暑い雨の夜のことだった。 営業部の人との合同の飲み会。暑さとアルコールに当てられ、一息つこうと外に出たところ、彼がいた。 同期だった彼とは、部署異動ですぐに別々になり、話したのは久しぶりの事だった。 背の高い彼、爽やかな彼、笑うとえくぼのできる彼、密かに憧れていながらもなかなか話しかけられなかった彼。何度か話せたのは彼と私の好きな洋楽バンドがたまたま一緒だったから。思えばいつも彼から話しかけてくれていた。自分から話しかけられたことは一度だったなかった。 だって彼はいつも素敵で、彼の周りには沢山の人がいつもいたから。 思い切って話しかけられたのはきっとさっき飲んだカシオレのせいだった。 かき集めた勇気と勢い。けれど彼の気さくな笑顔と「大好きな洋楽の話」という共通項のお陰で、あの時解けなかったぎこちなさは舌の上のかき氷のようにすんなりと溶けた。 「あの
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