ずっと気になっていたこの奇妙な本を、「夏休みだから」というよくわからない理由で読んでみました。めあては、明治時代に東方の理想郷「白水境」(ベロヴォージエ)をめざしてウラルの奥地から日本までやってきたカザーク(コサック)の旅行者がいた、という驚くべきエピソードを紹介した第三章。いやはや、面白い。ほんとにヤーパンまでエクソダスしちゃったのかよ。 多くの貧農たちを東方へのあてどない探索行に駆り立てた日本=ベロヴォージエ伝説。そこへの行き方を記したガイドブックとして19世紀に旧教徒のあいだで知られた「日本国(オポーニア)への旅案内」なる怪文書は、じつにいかがわしさ爆裂な代物だったようです。いわく、その島々には数百もの教会があり、ロシア人は大歓迎を受け、誰も国に入れずどことも戦争をせず、教会がすべての民を治めている、云々。また、19世紀半ばのアルカージイなる人物はさらにひどく、「日本総主教」叙任証を