あのころは類書があるようで、なかった。 だからいままでずいぶん多くの諸君に「この本はぜひ読むといい」と薦めてきた。ダイナミックな地球生命観をもつための門を蒙(ひら)くキーブックを選ぶなら、本書はまちがいなくそこに入る。 地球科学の本や生命化学の本はいくらもあるし、地球にどのように地質変化がおこってそこからどのように生物が誕生進化してきたかを述べている本は、少なくない。けれどもかなりの実証的な調査研究にもとづいて、しかもかなりの見方に独創が加わっているとなると、ましてそれを日本人の科学者がまとめたものとなると、あまりなかった。1998年の著書だった。 海洋研究開発機構の研究者に高井研という地球生物学者がいる。まだ40代だ。2011年に『生命はなぜ生まれたか』(幻冬舎新書)を書いた。なかなか痛快な本なのだが、この本のなかで高井は本書が自分にとっての先駆的で決定的な一冊になったと述べている。 丸
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