本誌の読者たる最高の知識人諸子は、疑いもなく『パーキンソンの法則』(至誠堂)について熟知されていることであろう。熟知せざる諸賢は、残念ながら最高の知識人階級に所属されてはおらぬというだけのこと。さりとてこれが気に病むべきことだというわけでもない。人には器があり、属する階級というものがある。東洋の釈迦も、悟りはやみくもに伝えるべきものではなく、相手の器量を見定めた上でなければ害をなすことすらあると看過している(世に言う「知らぬが仏」とはこのことである)。パーキンソンの法則もまたしかりであり、この英知を過小なる器に敢えて盛ることは百害あって一利なしの愚行といわざるをえまい。盛る側にとっても、盛られる側にとっても。 かように書いたところで、読者諸賢の旺盛なる好奇心はいやが上にも刺激されたことであろう。本書に盛り込まれた英知とは何であろうか。 それは組織というものへの洞察である。余を含めあらゆる人