東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、県内の有機農家が苦境に立たされている。無農薬・無化学肥料を求めていた人たちが、「放射能への懸念から東日本の野菜を買い控えるようになった」(県内の有機農家)ためという。「食の安全」に対する意識がより高い顧客に支えられていたからこそ、事故の影響が顕著に出ている。 三浦市初声町下宮田で直売所のほか、飲食店へ無農薬・無化学肥料野菜を販売する「たかいく農園」は、昨年6月から三重県に拠点を移し始め、今年3月までにほぼ移行する。 「じくじたる思い」と話すのは、同農園の高梨英子さん(47)。夫の清さん(43)とともに、4年前から1万6千平方メートルの畑で、現在の農法で土作りを続けてきた。 原発事故後に収穫された野菜の放射能測定では関西並みの数値だったため、販売は続けたものの、売り上げは5分の1に激減した。 三重県では「たかいく新舎」として昨年7月から4500平